歯科レントゲンの安全性


放射線の被害についての新聞記事を見てから、歯医者さんで撮るレントゲン写真の安全性について疑心暗鬼になっています。

 

小さな子供や妊婦がレントゲンを撮っても大丈夫なのでしょうか? 

 

平井加尾

結論から言いますと全く問題ありません。

 

ただし、レントゲンを撮るときには、鉛のエプロンなどをして、被曝量を限りなくゼロにするのは常識です。

 

なぜ問題ないのかは以下の通りです。

 

(1)自然界には放射線が存在し、私達たちは常に食物や地面など自然界からの放射線を受けています。

 

その量は、日本では年間1.5mSv程度です。

 

mSv(ミリシーベルト)というのは放射線量を表す単位です。

 

外国では、年間10mSvにもなるところもあります。

 

世界の平均は、年間2.4mSvです。

 

(2)歯科用レントゲンでは、使う機種や撮影する部位にもよりますが、PAと呼ばれる小さなレントゲン写真の放射線量は1枚あたり0.01-0.03 mSv顔全体を撮影するパノラマレントゲン写真の放射線量は1枚あたり0.02-0.03mSvです。

 

これは、集団検診などで撮影する胃のレントゲン写真1枚(約4.1mSv)のおよそ100~400分の1、上記で述べた自然界から1年間に受ける放射線のおよそ50~150分の1程度です。

 

以上から、歯科医院で撮影するレントゲン写真の安全性は高いといえるのです。

 

(3)冒頭でも述べたレントゲン写真を撮影する際に着用するエプロンには鉛が入っています。

 

鉛は放射線を透さないので肺、胃、腸、卵巣などは、放射線による被爆をほぼゼロにすることができます。

 

このエプロンの着用はアメリカ歯科標準治療では常識になっています。

 

(4)よくレントゲン写真を撮影した後に妊娠に気付いてパニックになる人がいますが、妊娠初期を含めた全期間を通じて、歯科医院で撮影するレントゲン写真は安全です。

 

上記で述べたように、歯科医院で撮影するレントゲン写真の放射線量は極めて低いうえに、肝心の腹部は鉛の入ったエプロンで覆われているからです。

 

奇形や精神発達遅延が現れるのに必要な放射線量は250mSv以上だとされています。

 

これは歯のレントゲン写真を8000~24000回にわたり、エプロンなしで一度に撮影した量と同じですから、心配する必要はないでしょう。

 

ただし、妊娠に気付いたらレントゲン写真の撮影は赤ちゃんへの愛情から最低限にとどめるべきです。

 

(5)最近、デジタルレントゲンを使用している歯科医院が増えています。

 

これはアナログのレントゲン撮影装置を開発・発売しているほとんどの会社が製造を中止とし従来からあるアナログの機種の修理もしなくなったためです。

 

従って、新しく買うレントゲン装置は全てがデジタルになっているためデジタルを使う歯科医院が多くなっているのです。

 

デジタルはアナログに比べ被曝量が少ないことは良いのですが画質に関しては従来のものの方が、遥かに鮮明で正しい診断をしやすいのは変わっていません。

 

しかしながら、昨年、高山に疎開した後、G.V. BLACK DENTAL OFFICEでも、アナログ装置が壊れたためデジタルレントゲンに代えました。

 

思ったより画質が良くなっているので日々の診療には影響はありません。

 

デジタルは色々と便利なことが多いのでプラスマイナスで判断すると良いことのほうが多いように感じています。

 

放射線について鹿児島大学の情報

 

01/04/00

03/17/18 updated

Norman Yamazaki, DDS.

 

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