DPで仕上げる歯列矯正


まず理想的な歯列矯正の症例を見て見ましょう。

YouTube・5分でわかる15才アンナの歯列矯正↓

G.V. BLACK DENTAL OFFICEでは、ブラケットオフ後に、DPと呼ばれる装置を使うそうですが、それはなぜですか?

麻生次子

 

結論:

 

最終仕上げを完璧にできるからです。

 

説明:

 

DPというのはDynamic Positionerの略で、Bracket Off後に使われる「保定装置」の一種です。日本で広く使われているワイヤーでできたホーレータイプのリテイナーなどとは全く違った機能を持っています。

 

アメリカ歯科標準治療では、歯列矯正で動かす歯の割合は、ブラケット+ワイヤーで全体の90%DPで残りの10%と細部のディテールということになっています。

 

つまりDPは歯列矯正の仕上げのためには必要不可欠な治療なのです。

 

高校1年アンナの症例で検証します↓。

↑最新の歯列矯正保定装置 Dynamic Potionerで仕上げる矯正↑
↑最新の歯列矯正保定装置 Dynamic Potionerで仕上げる矯正↑

01/12/03 BB直前の様子↑

 

良く見かける八重歯の症例です。

 

8ヶ月でBOとなりましたが正中が合っていません↓。

↑最新の歯列矯正保定装置 Dynamic Potionerで仕上げる矯正↑
↑最新の歯列矯正保定装置 Dynamic Potionerで仕上げる矯正↑

09/21/03 本日 BO直後の様子↑

 

また、この時点では噛み合わせも不安定ですがDPを装着し始めてから4ヶ月で正中が合い、噛み合わせも非常に安定してきました↓。

↑最新の歯列矯正保定装置 Dynamic Potionerで仕上げる矯正↑
↑最新の歯列矯正保定装置 Dynamic Potionerで仕上げる矯正↑

01/11/04 本日の様子↑

 

その後、ホワイトニングもしてアンナ自身も全てが快調であることを実感し始めたのがDP装着開始から9ヶ月目くらいからでした↓。

↑最新の歯列矯正保定装置 Dynamic Potionerで仕上げる矯正↑
↑最新の歯列矯正保定装置 Dynamic Potionerで仕上げる矯正↑

06/27/04 ホワイトニング終了直後の様子↑

 

以上からわかるのは歯列矯正をした人にとってDPというのはとても頼りになる相棒であると言うことです。

 

今、日本の歯医者さんで1年で歯列矯正が終わると宣伝している人がいますが、その人たちの保定装置はもう歯を良い位置に動かすことのできないワイヤーのリテイナー(別名ホーレータイプのリテイナー)やぺらぺらの透明のリテイナー(別名クリアーリテーナーとかソフトリテーナー)だったりするので、いったいどこまで正確にやろうとしているのか?

 

私は不思議に思っています。

 

見た目だけをそろえるなら誰がやっても1年もかからないのですが、奥歯の噛み合わせをそろえて顎関節症にならないようにするためにはワイヤーのリテイナーやぺらぺらの透明のリテイナーでは無理な話だからです。

 

DPの実物を見るとイメージが沸くと思うので、公開します↓。

↑最新の歯列矯正保定装置 Dynamic Potionerで仕上げる矯正↑
↑最新の歯列矯正保定装置 Dynamic Potionerで仕上げる矯正↑

前から見た様子↑

↑最新の歯列矯正保定装置 Dynamic Potionerで仕上げる矯正↑
↑最新の歯列矯正保定装置 Dynamic Potionerで仕上げる矯正↑

上の歯のポジション↑

↑最新の歯列矯正保定装置 Dynamic Potionerで仕上げる矯正↑
↑最新の歯列矯正保定装置 Dynamic Potionerで仕上げる矯正↑

下のポジション↑

 

この写真を見てわかるのは、今、日本で広く使われている針金を曲げて作るリテイナーやぺらぺらの透明のリテイナーとは全く違うということです。

 

針金を曲げて作るリテイナーは歯学部学生でも30分もあれば完成するものです。

 

材料もレジンと針金だけで、費用も最小限でできます。

 

設備もペンチが一つあればOKです。

 

ぺらぺらの透明のリテイナーも簡単にできることに関しては同じです。

 

一方、DPは製作するのに大変な時間と労力のかかる技工を必要とします。

 

また専用の施設も必要で、設備投資には何百万もかかります。

 

一般的に、DPを作るためには、

 

(1)上下の歯の印象を取り、上の歯と下の歯の石膏模型を作ります。

 

(2)正しい顎の位置関係を調べた上で、咬合器に2つの模型を装着します。

 

(3)模型を咬合器から外し、上の歯と下の歯を石膏模型から切り取ります。

 

(4)歯茎の部分を削り取って、歯茎の部分だけをワックスに入れ替えます。

 

(5)咬合器に再び装着し、最終的に目指す歯の理想的な位置に、ワックスを暖めながら、歯を動かします。30分から1時間程度で、理想的な歯並びと咬合が完成します。

 

(6)この理想的な歯の模型の印象を取ります。

 

(7)また石膏模型を作り、咬合器に装着します。

 

(8)今度はDPの原型をワックスで作ります。

 

(9)この原型を、もとにシリコンでDPを作るのですが、その行程は長いので、省きます。

 

・・・

 

(35)コーティングをして終了です。

 

上記の行程を全て行うと、つきっきりで1週間ほどかかります。

 

私の知る限り、このDPが歯科技工の中で最も知識と才能と忍耐が必要とされる技工です。

 

現在、日本にこのDPを自分で作ることが出来る歯科医師はいるのか?ということになりますが、デンティストとしては、私が一人います。

 

私の他には歯科医師でDPを作っていると言う人を聞いたことはありません。

 

技工所で作っている所は、以前は1カ所あったようですが、上記のように手間暇がかかりすぎて採算も合わないし、歯科医院からの注文も来ないので、やめたという話を聞きました。

 

ここで疑問なのは、なぜアメリカ歯科標準治療ではそうまでしてDPを作るのか?ということです。

 

それは、DPを使わないとできないことがある!からです。

 

リテイナーを保定装置に使う人たちの概念はBracket Offをした瞬間が、最も良い歯の状態で、それを維持すればOK!少しくらい動いてもOK!後戻りしても2度目の矯正があるジャン!というものです。

 

ワイヤー製のリテイナーは今から50年以上前に開発されました。

 

50年前には、今のような咬み合わせの概念もないし顎関節症も知られてはいませんでした。

 

一方、DPを保定装置に使うアメリカ歯科標準治療ではBracket Offをした瞬間は、全体の90%しか歯は動いておらず残りの10%はDPで動かさなければ、噛み合わせも完成しないし、歯並びも、細かな動きは終了しない!

 

また常に理想的な歯の位置を維持しなければ、いつか後戻りして噛み合わせがおかしくなって顎関節症になる可能性がある!

 

と考えるので、DPを使うのです。

 

DPの原型は今から20年くらい前には開発されましたが、G.V. BLACK DENTAL OFFICEが採用している製作方法は、材料、器具も含め毎年何らかの改良が加えられています。従って、アメリカ歯科標準治療のDPは2018年現在の歯科医学が集大成された最終歯列矯正装置兼 保定装置であることがわかります。

 

これだけの違いがあり、リテイナーのようにすぐに壊れることのない頑丈で正確なDPを使えば、後戻りは防げるし、機能的にも筋肉のトレーニングが可能で、良いことばかりだと思うのですが、アメリカでは一般的に普及しているDPが日本では受け入れられない理由は、製作コストが高い!ということがあるかもしれませんが、それ以前に、患者の健康を考えていない歯科医師の怠慢だと考えるのは、私だけではないでしょう。

 

とにかく1週間付きっきりになる技工ですから最近、Dental Diaryが更新されないね、とあなたが思うとき、アメリカスーパーデンティストの山崎先生は、技工にかかっきりで、きっとDPの製作に没頭中だと、G.V. BLACK DENTAL OFFICEに通う人々は知っています。

 

くどいようですが、G.V. BLACK DENTAL OFFICEで歯列矯正を受けた人が、成功するか失敗するかの鍵は、このDPの装着にかかっているので、まじめに取り組むようにしましょう。

 

装着期間、毎日の時間は個人差があるので、G.V. BLACK DENTAL OFFICEの指示に従って下さい。

 

12/01/05

03/07/18 updated

Norman Yamazaki, DDS.