保険の銀歯の問題点


アメリカに留学している者です。

 

先日、日本で治した銀のインレーが取れたので、大学病院の歯医者さんに行きました。白人の先生でしたが、私の口の中を見て、

 

「なんでこんなひどい金属が入っているんだ?」と不思議がっていました。

 

日本では保険で治したので、いわゆる銀歯のクラウンが2本とインレーが6本ありました。

 

取れたインレーは、アマルガムで治してもらったのですが、私のように歯の内部が虫歯になっていた場合は虫歯再発を防ぐ意味でアマルガムが一番良い材料だという説明を受けた後に治療をしてもらいました。

 

これがインホームドコンセントとかと、日本ではされたことがなかったので、感心しました。

 

治療が終わった後に、このような金属では他の歯も虫歯になっている可能性が高いので、機会があったらやり直した方が良いとも言われました。

 

日本の銀歯は何がダメなのでしょうか?

西本和子

結論:

 

ホケンの銀歯は材料的面からも虫歯になるのを防げないので歯は確実に悪くなる。

 

説明:

日本のホケンの銀歯の材料は、金銀パラジウム合金(銀色)と呼ばれているものです。

 

今の保険制度が固まりつつあった30年以上前には、金合金(金色)よりもはるかに値段が安く、かつ強度に耐えうる合金であったので採用されたのです。

 

今現在、この銀色の合金も含め、金合金以外の物は、アメリカでは使われていません。

 

金銀パラジウム合金の問題点は、

 

(1)クラウンを作る時の操作性が悪い

 

(2)口腔内で錆びる

 

(3)成分によりアレルギーになる可能性がある

 

という3つの問題があります。

 

しかし、現実の問題としては(1)と(2)が重要です。

 

(1)はインレーやクラウンを作る歯科医師や技工士が直面する製作段階での問題です。

 

操作性が悪いと、削った歯の窩洞に、ぴったりと適合する修復物が作りにくいのです。

 

ということは、歯との間に、隙間ができることになり、その隙間から唾液が歯の内部に進入して、二次カリエスと呼ばれる虫歯の再発になるのです。

 

金合金が歯科材料として好まれる理由は、この操作性が良いので、ぴったりと適合する修復物が作りやすいためです。

 

(2)は、口腔内で錆びてしまうと、どんなに正確な修復物が仮に出来たとしても、長年の使用で、錆びると修復物と歯との間に隙間が開いて、Again、その隙間から唾液が歯の内部に進入して、二次カリエスと呼ばれる虫歯の再発になるのです。

 

つまり金銀パラジウム合金の問題点は、

 

(1)操作性が悪い

 

(2)口腔内で錆びるともに歯が虫歯からは守られない!

 

ということに尽きるのです。

 

別の言い方をすると、治してもいずれは虫歯になる!ということになります。

 

つまり、金銀パラジウム合金の修復物は、虫歯になることがわかっている以上、

 

(1)インレー程度の大きさなら虫歯を防ぐ効果があり、適切な方法で詰められたものであれば一生持つアマルガムを使えば良い

 

(2)クラウンには、錆びることもなく、操作性が良いため歯にぴったり適合し、虫歯の再発を抑えられる金合金を使えば良いという結論にアメリカではなっているのです。

 

(3)は最近になって急に言われ始めたことです。

 

金銀パラジウム合金の成分は、金12%、銀50%、パラジウム25%、銅12%程度の配分のものが多いようですが、少量ニッケルが入ったものもあるようです。

 

確かに、個別の金属一つ一つを取り上げると、アレルギーになる可能性の高いものもあり、特にニッケルは、ピアスなどでもアレルギーの原因になっている金属なので要注意なのですが、私の20年程度の臨床歴の中で、歯科用金属が原因でアレルギーになった人にまだ出会ったことがないという事実から、この問題はある限られた人たちの問題であると言えましょう。

 

つまり、遺伝的や特殊な病気には無縁で、普通の健康状態で普通に生活できている人ならば、心配する問題ではないと言うことです。

 

G.V. BLACK DENTAL OFFICEにも、歯科金属アレルギーを防ぐという目的で、歯科用金属を外して、レジンにされた人が、何名か来ましたが、虫歯が大爆発していた全てのレジン充填された歯を、虫歯を防ぐ目的で、レジンをアマルガムに代えて、もう7年以上、経過した人がいますが、何の問題も起きていません。

 

最後に、皮肉なことは、値段の安い金属としてホケンに採用された金銀パラジウム合金ですが、30年の月日が流れて、パラジウムが携帯電話などに使用されることが多くなり、値段が高騰して、相場の変動次第で、今では金合金よりも高額になるという事態が起こっていることです。

 

だったら、ホケンでも金合金のクラウンを作れるようにすれば良いと思うのは私だけではないと思いますが、歯医者さんには歯医者さんの思惑があり、なかなか国民のための歯科医療は実現しません。

 

とにかく、このセクションでは、

 

ホケンの銀歯は材料学的に虫歯になるのを防げないので歯は確実に悪くなる

 

ということだけを覚えておいて下さい。

 

04/20/03

04/09/18 updated

Norman Yamazaki, DDS.